『フィラリア感染開始予測のおはなし 2024』

おはようございます。

毎年のお話になります。
フィラリアの感染開始と終息を予測するHDUですが、4月20日の時点で75.85pt.となりました。
思ったよりも気温が低かった3月でしたが、ここにきて気温の上昇が著しく、このペースなら14日以内に感染開始となりそうな予測です。
GWの天気が良く夏日となるようでしたらもっと早まると思われます。
ただし、これはあくまでも気象庁が発表している千葉市の気温を元にした計算上のものとなります。

HDUは、フィラリアの子虫が感染できるような状態まで脱皮成長するのに必要な温度が>14℃ということに基づいて計算されており、数値の累積値が130pt.を超えると感染が始まりますよーいった感染開始の目安となるものです。
ですので、暖かい地域であれば感染開始が早くなり、北の方へ行くと遅くなるといったことになります。

これを参考にしてフィラリアのお薬の投薬スタートを決めていますが、米国犬糸状虫学会のガイドラインでは『感染が始まってから30日以内に1回目の投薬をすると良い』とされていますので、理屈では『6月上旬までに投薬』を始めていただけたらと思います。
あくまでも計算上のものですので、30日を1日でも超えて投薬が遅れてしまったら感染が成立してしまってフィラリア症になってしまうのかといった厳密なものではありませんのでご安心ください。
ですが、7月、8月と遅くなるにつれて感染が成立する可能性が高くなります(フィラリアが体内で成長脱皮して成虫に近づくにつれてフィラリアのお薬が効かなくなります。成虫の駆除効果はありません。)ので、『5月末~6月上旬』を目安に1回目の投薬を実施していただくのが大切です。

ちなみに理屈の上では千葉では4月に投薬する意味はまったくないと僕は思っています。まれにそういう指示をされていたという飼い主さんが来院されるとついつい苦笑いしてしまいます。
飼い主さんが悪いわけではないのにごめんなさい。

ただし、外で飼育されているワンコやお家の近くに野生動物がいるようなお山がある、あるいは、そういうところにしょっちゅう出かける機会がある、などであれば早めに投薬を開始するメリットはあると思いますので、当てはまる方、ご心配な方は5月上旬から投薬をスタートしていただいても大丈夫です。
 
今回のお知らせはもうちょっとでフィラリアのお薬開始ですよーというもので、予防開始にはまだまだ余裕があります。
フィラリアのお薬は要指示薬となっており、投薬前に体にフィラリアがいないことを確認した上で処方・投薬するように指示がついているお薬です。
万が一フィラリアの子虫がいる状態でお薬を飲むとワンちゃんが体調不良、場合によりショック症状となることがあります。

処方をご希望の方、昨年の余りがあり今年の投薬はこれからの方、少量の血液を使用した検査が必要となりますので投薬前に一度ご相談ください。

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